映画『シベールの日曜日』原作
『ヴィル・ダヴレーの日曜日』覚え書き
鷺澤伸介
(初稿 2013.11.9)
(最終改訂 2026.6.8)
工事中のお知らせと旧稿のお詫び
作者自身による小説の説明について
先日、ずっと読みたいと思っていた、「作者であるベルナール・エシャセリオー自身がこの小説について述べた記事」を、やっと読むことができました。その結果、旧稿において「推測」した内容のうち、以下の項目についての「正解」を得ることができました。
【推測1】ピエール(旧名ピーター)は、かつては少女を殺す変質者であった。……完全に「当たり」
【推測2】クリスマスの夜、ピエールは眠りに落ちたシベールを殺そうとした。……どうやら「はずれ」
これらは小説内でははっきりそうであるとは書かれておらず、さまざまな記述内容から推測するしかありませんでした。まあそれはそれで楽しかったのですが、作者自身に「こうだ」と明言され、その内容を知ってしまったら、以後はそれに従うほかはありません。
今回のこの流れ、「曖昧だったものの確定」という点で、何だか「波束の収縮」(「シュレーディンガーの猫」で有名な量子力学的現象──この場合は「観測」に当たるのが「作者の説明」になります)を実体験するような感覚に襲われました。いずれにせよ、物語世界の神様というか創造主には逆らえませんし、「過ちては則ち改むるに憚ること勿れ」が当サイトのモットーでもありますからw、ここは素直に、旧稿で【推測2】を外してしまったことをお詫びしたいと思います。
以下、上の二つの推測について少しだけ解説しておきます。
【推測1】について
「私の本の中では、ピエールは人でなしの怪物であり、子どもの殺人者であり……」だそうなので、彼はやはり、かつてのギャング仲間であったジュアン(通り名ジタン)が信じたとおり、事故に遭う前は小児偏愛の殺人鬼であった。
……彼は最後にジュアンの手で殺されるが、そうされても仕方のない罪を過去に犯していたことになる。
【推測2】について
事故に遭って記憶を失ってから、ピエールは心の奥底に潜んでいた純粋さによってシベールを救う。シベールは、「以前ならピエールの犠牲になっていたところ」だそうだが、これはつまり、今のピエールならそばにいても殺されない、ということである。
……これを読んだとき、正直、「え、じゃあ眠りに落ちるシベールを見ていたピエールは、なぜあんなにもナイフを欲しがったのか?」と疑問に思った。彼はナイフを、目の前で眠る少女の殺害とは別の目的で使うつもりだった、と考えるほかはないのだろうか?それより少し前、ピエールの夢の中で、シベールの胸にナイフが刺さっていたのは?あれも彼の潜在意識における願望というわけではないということ?
作者の姓は「エシャセリオ(ー)」と発音する
もう一つ訂正。小説の作者の綴りは「Bernard Eschassériaux」が正しいようです。ご覧のように e にアクサン・テギュが付いていますので、彼の姓は「エシャ[ス]リオー」ではなく、「エシャ[セ]リオー」と発音することになります。
ちょっと言い訳をしておきますと、私が持っている『ヴィル・ダヴレーの日曜日』原作本では、表紙も中表紙も大文字で ESCHASSERIAUX と書いてあって、E のアクサン・テギュが表記されていないのです(フランス語の大文字表記ではよくある)。ただ、裏表紙では ESCHASSÉRIAUX とちゃんとアクサン付きになっていました。旧稿を書いたときに裏表紙の表記違いに気づけばよかったのですが、見落としてしまったため、これまでアクサンなしの誤ったカナ表記を晒し続けてしまいました。これについてもお詫びして訂正いたします。
なお、最後の「aux」は伸ばさずに「エシャセリオ」と発音する方がよいのですが、我が国では Bordeaux を「ボルドー」、Malraux を「マルロー」などと、「aux」を伸ばして読むのが慣例になっているので、ここではそれに合わせました。
旧稿を全面改稿するか日本語訳にするか
以上、これらの訂正を含んだ改稿版を現在計画中です。
また、旧稿執筆時には見送った『ヴィル・ダヴレーの日曜日』日本語訳の公表もちょっとだけ考えていますが、その場合は旧稿のような解説&考察の駄文はかえって邪魔になりそうですので、もし拙訳公表ということになったらほぼ翻訳だけのページになるであろうことをご了承ください。
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